Sustainability

サステナビリティ

サイバーエージェントは、ビジョン「21世紀を代表する会社を創る」とパーパス「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」を掲げ、人的資本の最大化、情報セキュリティに関するリスク低減、気候変動への対応をサステナビリティに関する戦略の中心に据えています。現在は、AIを活用した業務効率化を全社的に推進しており、企業の成長源泉である人材がより創造的に働ける環境づくりに取り組んでいます。

サステナビリティ


全社員を巻き込む、サイバーエージェントのAI徹底活用戦略

Profile
上野 千紘
(株)サイバーエージェント 執行役員
AIオペレーション室室長

非コア業務の削減で、より創造的に働ける環境を実現

サイバーエージェントでは「AIの活用を競争優位性に」と掲げ、AIの活用を全社で推進すべく、2023年10月に専門組織「AIオペレーション室」を新設しました。代表の藤田が「AIを活用している会社とそうでない会社では、今後ますます差が開いていく」と語るように、AIはあらゆる業務に当たり前に組み込まれる"インフラ"になると考えています。

AIオペレーション室では、組織内に専任の開発組織を持つ強みを生かして、プロダクト開発や導入支援、AI人材の育成などを通じて全社員のAIリテラシー向上を推進し、スケジュール調整や議事録作成などをはじめとした非コア業務の削減を支援しています。

現在、約20件のプロジェクトについて開発・運用を進めていますが、その一つが対話型予定調整アプリ「サイスケ」です。参加者や希望日時を入力するだけで、AIが最適な日時を提案し、自動で通知まで実施。これにより、手作業での確認やコミュニケーションが大幅に減少し、月間20万件にもおよぶ社内の予定調整にかかる社員の負担を大きく軽減しています。

また、プログラミングの知識がなくてもAIアプリの開発・運用ができる「Dify※1」を全社的に導入し、利用する従業員は2,500名以上にのぼり、月間10,500時間※2の業務削減を実現。社内への普及を目的とした30回以上にわたる勉強会の結果、特に非エンジニア職の利用が急拡大しました。定型的な業務が削減され、より価値を生み出すコア業務に専念できるようになったという声が上がっています。

※1
Dify:AIアプリを開発・運用できるローコードプラットフォーム(米国のLangGenius社が開発)
※2
Difyを利用している従業員へのヒアリング結果

AIオペレーション室をはじめ、社内で独自開発したプロダクトの一部

私たちは、AIを社員一人ひとりに浸透させるためには、積極的な情報発信とコミュニケーションが重要だと考え、開発したプロダクトの紹介や生成AI活用に関するコンテンツなどを通じて、社内へ向けた発信を強化しています。

また、現場のニーズや課題を直接把握するため、社内勉強会への登壇や各事業部とのヒアリングなどを定期的に行っています。

全社員のAIリテラシーを底上げする取り組み

2023年9月には「生成AI徹底活用コンテスト」を開催し、業務効率化やサービス提案など4つのテーマで活用アイデアを募集しました。このコンテストでは、すべての職種の社員が参加しやすいよう「技術的な実現性は問わず、自由にアイデアを出していい」というルールを設定し、検証に必要な生成AIサービスの利用料金の一部を補助する制度も併せて実施しました。

2025年に開催された第2回コンテストは、社員のAIへの理解度向上と技術進化を踏まえ、より全社的な事業インパクトを重視したイベントとなりました。第1回、第2回合わせて応募総数は約2,500件に達し、非常に活気あふれる施策として成果を上げています。

「賞金総額1,000万円!生成AI徹底活用コンテスト」社内告知と当日の様子(2023年開催)

AI人材育成をさらに強化するため、2023年11月には「生成AI徹底理解リスキリング」を実施しました。このプログラムは、非エンジニア・エンジニア・機械学習エンジニアの3つの階層に分けて全社員に提供され、執行役員を含む約6,200名が受講。組織全体のスキルの底上げに貢献し、これ以降、AIオペレーション室への相談や問い合わせが飛躍的に増加し、社員の意識が大きく変化したと感じています。

こうした全社的な取り組みが功を奏し、現在、当社では幅広い事業でAIを活用したプロダクト開発や、品質・生産性向上を目指したプロジェクトが推進されています。2025年2月には、AIに携わる社員の横のつながりを生むことを目的に、社内の取り組みを一堂に集めたイベント「AI Fes.」を開催しました。65のポスターと26のブースが出展され、非エンジニア社員も含め1,000名以上が参加するなど、活発な交流が行われました。

AI技術が集結した祭典「AI Fes.」

開発組織におけるAI活用戦略

当社の開発組織においても、2023年4月にGitHub Copilotを全社導入したのを皮切りに、様々なAI開発支援ツールを部門ごとに導入。その結果、約1年半でエンジニアの開発工数の約4割をAIが補完するまでに至っています。

個人のAIスキル向上を目的に、エンジニア1人あたり月額200米ドルの開発AIエージェント導入費用補助制度も開始。2025年8月にはエンジニアとAIエージェントの協働を専門に推進する「AIドリブン推進室」を設立しました。

AIエージェントの活用で生産性の飛躍的な向上を実現し、サービスのさらなる価値創出につなげ、事業の持続的成長をエンジニアが牽引できる開発組織を目指します。

GitHub Copilot:AIを活用したコード補完・生成機能を提供する開発支援ツール

AI時代のサステナビリティエンジン、技術者版「あした会議」

生成AI活用コンテストやリスキリング、そしてAI技術の祭典「AI Fes.」といった取り組みは、すべて2017年から毎年実施している技術者版「あした会議」である「CA BASE SUMMIT」から生まれました。継続的にイノベーションを生み出せる開発組織であり続けることを目的にエンジニア・クリエイターが中心となって開催しており、過去6年間で92件のアイデアを採択しています。

「CA BASE SUMMIT 2025」当日の様子

今年の開催でもAI関連の提案が多数決議され、その一つである「AIドリブン推進室」が早速新設されるなど、各施策をスピーディーに実行しています。当社の企業文化である「あした会議」の仕組みを生かし、技術者視点から会社の未来を考える「CA BASE SUMMIT」は、今やサイバーエージェントにおけるAI時代のサステナビリティエンジンとなっています。

AIが目覚ましい進化を続ける中、当社の強みである変化対応力や実行力で、その活用をリードし、会社の競争力を強化してまいります。

あした会議:サイバーエージェントの未来につながる新規事業や課題解決の方法などを提案、決議する会議