Media & IP
Business
メディア&IP事業
成長戦略
2016年に開局した新しい未来のテレビ「ABEMA」。その集客力を核として、グループ全体のシナジーを最大限に生かし、アニメをはじめとする親和性の高いIPコンテンツ分野の強化に注力しています。「ABEMA」開局後、10年ぶりに黒字化を達成したメディア&IP事業ですが、引き続き「ABEMA」を中心とした事業ポートフォリオを拡充することで、高収益なビジネスモデルを目指しています。
集客エンジンとしての「ABEMA」
10年目を迎えた「ABEMA」は、コンテンツ制作および調達などへ積極的に投資を続け、メディアとしての存在感を高めてきました。現在は、人気スポーツやアニメ、ニュースに加え、オリジナル番組の視聴が人気を博し、2,800万を超える高いWAU※1にて推移しています。
WAUの推移
- ※1
- WAU:1週間あたりの利用者数(Weekly Active Users)
- ※2
- 2025年9月22日(月)~2025年9月28日(日)の期間における1週間の視聴者数
利用者層の約60%が30代以下で、テレビ放送や他メディアでは接触しづらい若年層に支持されている点が「ABEMA」の特徴の1つです。
「ABEMA」利用者の属性
「ABEMA」の成長は、独自性と多岐にわたるコンテンツラインナップによるものです。災害時には情報インフラとして機能する24時間編成のニュース専門チャンネルや、世界最高峰のプロ野球リーグ「メジャーリーグベースボール(MLB)」、大相撲といったスポーツ中継でメディアとしての信頼を築く一方、エンターテインメントに感度の高い層を惹きつけるオリジナル番組が集客エンジンとなっています。
中高生を中心に絶大な人気を集める恋愛リアリティ番組や、「ATP賞」や「放送文化基金賞」といった国内アワードで受賞するバラエティ番組、アジア圏で権威ある「アジア・テレビジョン・アワード」において、日本のメディアとして初めて最優秀賞を受賞したドラマ作品など、高品質なオリジナル番組を継続的に創出。オリジナルのエピソード数は国内発の動画サービスでNo.1※を誇ります。
こうした多彩なコンテンツや独自性が評価され、ビジネスにおける業績や成長、多大な貢献を表彰するアワード「WORLD BUSINESS OUTLOOK AWARDS 2024」において、日本のメディアとして初めて「Leading FAST Service in Japan 2024」部門を受賞しました。これは、サブスクリプション費用の高騰を背景に世界で市場成長が注目される「FAST(無料広告型ストリーミングテレビ)」領域において、「ABEMA」が日本のFAST市場を牽引するサービスとして、グローバルな評価を得たことを示すものです。
- ※
- 自社調べ(2024年10月時点)
そして、今後グローバルでの成長の柱は、IP事業の要となるアニメです。現在では、全約40チャンネルのうち半数をアニメ関連チャンネルが占めており、独自のアニメ視聴基盤を築いています。
「ABEMA」視聴時間比率
- ※
- 抽出期間 2025年7月~9月
「ABEMA」チャンネル一覧
- ※
- 2025年3月時点
アニメを通じて世界市場を開拓
日本発のコンテンツ産業は、今や鉄鋼や半導体といった主要産業の輸出額を上回るほどの「基幹産業」へと成長しています※1。なかでもアニメ市場の成長は著しく、2023年には市場規模が過去最高の3.3兆円※2に達し、初めて海外市場が国内を上回りました。この成長は今後も続くと予想しており、2033年には約2倍の6.2兆円※3を超える規模となることが期待されています。また、日本政府もコンテンツ産業全体の輸出額を2033年に20兆円規模へ拡大する目標を掲げており※4、アニメ市場がこの成長を牽引する重要な役割を担うことが期待されています。
日本のアニメ産業市場規模※2
当社は、この大きな事業機会を捉えるため約10年前にアニメ事業へ参入し、段階的にIPのエコシステムを構築してきました。他社作品への出資や「ABEMA」を活用したマーケティングを通じて業界内での関係性を築き、2024年の「アニメ&IP事業本部」設立を機に事業領域を拡大。業界の歴史や慣習を尊重しながら、従来の出資事業に加え、自らがIPを主導する一気通貫の体制を整えています。
現在は「出資作品のIP価値最大化」と「オリジナルIPの創出」を両軸に、今後の成長戦略を推進しています。出資作品については制作委員会への参加をさらに強化し、オリジナルIPについては、世界に通用するIP創出を目指していきます。
- ※1
- 基幹産業へと成長:経済産業省「コンテンツの世界展開を促進するための基盤整備等に関する調査研究」(2025年6月公表)
- ※2
- アニメ産業市場規模:データソース 一般社団法人日本動画協会「アニメ産業レポート2024」(2025年1月公開)
- ※3
- 2033年のアニメ産業市場規模期待:知的財産戦略本部「知的財産推進計画 2024」(2024年6月公開)におけるアニメの割合を2033年の目標数値に置き換えて試算
- ※4
- コンテンツ産業の輸出額:知的財産戦略本部「知的財産推進計画2025」(2025年6月公表)
IPの源流からグローバルヒットへ
当社グループの事業領域
当社はIPを原作から制作し、興行、マーチャンダイジングなどの多様なマネタイズまでを一気通貫できる体制を構築しており、その中核を、各分野で専門性を持つグループ会社が担っています。
IPの創出は「刀剣乱舞」をはじめ多岐にわたる実績を持つ(株)ニトロプラスが、舞台・興行は2.5次元ミュージカルのリーディングカンパニーである(株)ネルケプランニングが、実写映画は日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した藤井道人氏率いる(株)BABEL LABELが手掛けるなど、IPを多様に展開する強力なパートナーが揃います。さらに中核となるアニメ制作においては、高品質な作品を多数手掛ける(株)CygamesPicturesに加え、2025年に新たに(株)CA Soa、(株)Studio Kurmを設立し、制作体制を一層強化しました。
この体制を生かした好例が、TVアニメ「光が死んだ夏」です。当社と(株)KADOKAWAの共同幹事作品となる本作は、グループ会社の(株)CygamesPicturesがアニメ制作を担当し、2025年7月の放送開始直後から週間視聴ランキングにおいて「ABEMA」で1位※1、「Netflix」で2位を記録※2。この反響を受け、第二期の制作が決定しています。さらに、2026年1月には(株)ネルケプランニングによる舞台化が決定しており、IPの価値をグループの力で最大化する好循環が生まれています。
- ※1
- 2025年7月7日~7月13日および7月14日~7月20日の期間における「ABEMA」のアニメ週間ランキング
- ※2
- 日本におけるNetflix週間TOP10(シリーズ)2位獲得(2025年7月7日~7月13日週)
この体制の根幹をなすのが、クリエイターの存在です。業界全体の課題であるクリエイター不足に対し、当社は「クリエイターファースト」を理念に掲げ、慣習にとらわれない報酬体系の確立や創作に没頭できる環境整備に注力するほか、「MANGA APARTMENT VUY」での漫画家育成や専門学校HALとの連携など、次世代の才能への投資も積極的に行っています。
また、アニメコンテンツのグローバルマーケティングに特化したCyberAgent Americaを再始動し、アニメ専門ニュースメディア「ANIME FREAKS」の多言語運営を開始。加えて、(株)MyAnimeList、 X Corp.、Weibo、KANAとマーケティングパートナーシップを締結し、対象国ごとにローカライズしたコミュニケーション設計とプロモーションを実行することで、アニメの海外向けマーケティングを強化していきます。
海外におけるファンベース構築のため、世界的なコンベンションイベントへの参加も積極的に進めています。米国ロサンゼルスで開催された「Anime Expo 2025」のサイバーエージェントグループブースには「光が死んだ夏」などが出展。また、2025年7月に始動を発表したアニメーション企画「Project M」も同ブース内にて展示コーナーを展開し、見る者の想像力をかき立てる、挑戦的かつミステリアスなビジュアルが注目を集めました。
これらの取り組みを通じて、IP事業を強化し高収益なビジネスモデルの構築へとつなげてまいります。
【Copyrights】
「愛のハイエナ」:©AbemaTV, Inc.
「今日、好きになりました。」:©AbemaTV, Inc.
「スキャンダルイブ」:©AbemaTV, Inc.
「光が死んだ夏」:©モクモクれん/KADOKAWA・「光が死んだ夏」製作委員会
"Pretty Guardian Sailor Moon" The Super Live :©武内直子・PNP/"Pretty Guardian
Sailor Moon" The Super Live製作委員会2025
舞台「呪術廻戦」:©芥見下々/集英社・舞台「呪術廻戦」製作委員会
ATTACK on TITAN: The Musical:©I・K/AMPC2024
「Project M」:©Project M