Internet Ad Business
インターネット広告事業

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成長戦略

サイバーエージェントの連結売上高の約半分を担うインターネット広告事業。 1998年の創業からサービスを提供しており、運用力やAI等の技術力を強みに顧客の広告効果最大化を追求し、インターネット広告のリーディングカンパニーとして市場を牽引しています。

市場成長以上の成長を継続

インターネット広告市場は、検索連動型広告やSNS上の広告等、運用型広告の拡大と共に急成長を遂げてきました。 当社は、この運用型広告を強化すべく、組織体制や技術力の向上に努め、市場成長以上の増収率を継続しています。

▎インターネット広告市場と当社の成長率比較

※1 成長率の推移:2012年を「100」とした成長率 ※2 インターネット広告市場:「2023年 日本の広告費」㈱電通

高い広告効果を実現する運用力と技術力

インターネット広告事業は、4,383名の体制を構築し、国内最大級の規模を誇っています。
創業来インターネット広告を専門に提供してきたノウハウを礎に、現在は国内外拠点で広告運用を担う子会社も内包しており、効果と効率性を同時に叶える仕組みを実現。
また、インターネット広告事業に在籍するエンジニアの割合は25%、そのうちの14%がAI技術を専門としており、2016年に設立した当社独自のAI研究開発組織「AI Lab」では、最先端技術を活用した広告プロダクトの研究開発に取り組んでいます。
当社が独自開発した「極予測シリーズ(生成AIを用いた広告プロダクト) 」は、効果的な広告テキストや画像を予測・自動生成することで、既存クリエイティブを上回る高い広告効果を提供します。さらに当社が保有する膨大なデータを生かした独自の日本語LLM(大規模言語モデル)の開発・実装により、自動生成手法をアップデートしながら、さらなる広告効果を向上させています。

※広告事業の有期雇用を含む役職員数(2024年9月末時点)

▎生成AIを用いた広告プロダクト「極予測シリーズ」

組織の多様性と充実した育成プログラム

インターネット広告事業の従業員における女性比率は37%※1です。女性の活躍推進や幹部育成にも注力し女性管理職比率は、日本の平均13%※2を大きく上回る27%※1となっております。
また、「広告主である顧客を理解し、その事業を伸ばす」という考えのもと、メンバーのスキルに合わせた複数の育成プログラムを用意し、新入社員を最速で戦力化させるプログラムから、リーダーやエグゼクティブクラスの能力開発等、段階別の育成プログラムを揃え、効果や状況にあわせて日々改善しています。

▎インターネット広告事業 男女構成比

▎女性管理職の比較

※1 2024年9月末時点 ※2 日本の女性管理職比率:厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」企業の課長相当職以上の管理職に占める女性の割合より(2024年7月公表)

広告課題への対策と機会の創出

当社は、景況感や市場環境など変化が速いインターネット広告業界において、柔軟性をもった戦略立案で継続的な事業拡大を続けています。昨今、大手グローバルメディアが主要な広告掲載先となっていますが、サードパーティーデータの利用規制により、Cookie(閲覧したWebサイトの記録データ)やIDFA(iOS端末の広告識別子)の取得が困難になりました。そのため、クッキーに依存しない「企業が持つ独自データ」を用いた新たな広告事業が注目され、先行している米国ではウォルマートの広告売上高が34億ドルに急成長するなど、新たな広告事業への期待が高まっています。

※ ウォルマート広告売上高:2024年1月期

DX事業、投資期から収益化フェーズへ

こうした背景の元、当社が保有するデジタル領域の知見や技術力を応用したDXの推進に取り組んでおり、ファーストパーティーデータを多く保有する小売はじめ、金融、モビリティ、通信業界を主とした日本の大手企業といち早くパートナーシップを締結し、新たな広告事業価値の創出に努めています。小売業界におけるチラシのデジタル化や店舗内のサイネージ活用等、リテールメディアの領域に参入。また2021年に銀行法が改正され、広告事業への参入期待が高まる銀行等と事業推進に努めており、現在収益化を目指しています。

▎広告におけるDX事業の協業先(一例)

特集
生成AIを活用した競争力の構築

生成AI技術は急速に進化し、あらゆる産業・ビジネスにおいて活用が拡大しています。 当社においても、生成AIの変化はインターネットの登場と同等のビジネスチャンスと捉え、広告効果の最大化や業務の効率化において生成AIを積極的に活用しています。

競争力の源泉「AI Lab」

広告事業において生成AIがブームになる以前からAIの可能性に着目し、2016年にAI研究・開発の専門組織「AI Lab」を設立しました。当初から研究と社会実装の両立を目指し産学連携を強化し、現在は約45の学術機関と共同研究を行っています。

▎学術機関との産学連携

「AI Lab」には広告業界では類を見ない89名※1の多様な領域の研究員が所属し、そのうち64%※1が博士号を取得しています。
事業とのスムーズな連携で、自社サービスへの社会実装を積極的に実施しており、社会実装プロジェクトは年間約150件です。

加えて、年間で約140本の論文を公開し、広告における研究に関わる各学問、研究領域において、世界で権威のある国際学会等で75本以上※2が採択されています。

当社はかねてより日本語LLMの独自開発に取り組んできましたが、自社プロダクトへの活用と並行して2023年5月に「CyberAgentLM」を一般公開。同年11月のバージョン2に次いで、2024年7月に公開したバージョン3は、日本語で使える主要モデルの性能スコアにおいて、日本企業で1位の評価※3を受けました。本モデルのパラメーター数は225億ながらMeta社開発の700億パラメータと同等の性能となっており、スクラッチ開発のオープンな日本語LLMとしてトップクラスの性能です。
また、2024年6月に開発・一般公開した日本語VLMにおいても最高性能※4との評価を受けるなど、当社の研究力・技術力の高さを証明しています。

引き続き、国内における自然言語処理技術および視覚言語モデルの発展に向けた研究開発にも注力しています。

▎「AI Lab」の人員数と論文採択数(査読あり)の推移

※1「AI Lab」の人員数:(2024年4月時点) ※2 論文採択数(査読あり):( 2024年1月~2024年10月) ※3 日本企業で1位の評価:NIKKEI Digital Governanceと米Weights & Biasesによる共同調査(2024年7月時点) ※4 最高性能:Heron VLMベンチマークにおいてオープンな同サイズのモデルと比較した結果(2024年6月時点)

広告効果2倍以上の独自プロダクト

当社では、広告事業を中心にいち早くAI活用を進め、「極予測AI」をはじめとするサービスに実装しています。

インターネット広告の主流である運用型広告では、広告効果を維持するために短期間で多種多様かつ大量な広告クリエイティブの制作と、迅速なクリエイティブ運用が不可欠。独自開発の生成AIを活用したプロダクト「極予測シリーズ」は、広告の効果予測と広告素材の自動生成を可能にしました。本プロダクトの活用により、クリエイターの広告制作量が最大15倍となっています。
現在は7つのプロダクトを展開し、既存クリエイティブと比べて「極予測AI」では2.6倍※1、「極予測TD」は2.3倍※2の広告効果を実現。2020年の提供開始以降、当社でお取引のある広告主※3の8割以上が導入し、広告効果最大化に活用しています。

2023年9月には、国内最大規模のLEDウォールや4Dスキャン等、様々なスキャンシステムやモーションコントロールカメラのBOLTまで最先端設備を有するクリエイティブ制作スタジオ「極(きわみ)AIお台場スタジオ」を開設。AI・CG技術を活用した撮影スタジオは、海外など遠方に移動せずスタジオ内だけで様々なロケーション撮影ができるだけでなく、広告効果予測をしながら撮影が可能で、より効果的な広告クリエイティブの制作・納品まで、一気通貫で行います。

※1 2.6倍:「通常の制作プロセス」によるクリエイティブと「極予測AIによる制作プロセス」によるクリエイティブの広告効果の勝率を比較 ※2 2.3倍「通常の制作プロセス」によるテキストと「極予測TDによる制作プロセス」によるテキストの検索キーワード品質スコアの上昇率を比較 ※3 広告主:ディスプレイ広告や検索連動型広告の出稿などAIプロダクトの導入が可能な広告主

▎極AIスタジオ

AIを活用した広告運用業務の削減

広告効果の最大化を実現するためには、細かな広告配信設定や効果に応じた運用改善、レポート作成など多くの作業があります。そこで当社では生成AIを活用することで広告運用の作業時間を短縮し、効率化を図る体制構築や仕組み化の取り組みを推進しています。
効率化を推進する専門部署の設置や、広告運用にまつわる各種業務をAIがサポートする社内向けアプリケーション「シーエーアシスタント」を独自開発。生産性および品質向上を図り、広告運用総時間2.4万時間の削減を目指しています。

全社を挙げた生成AI活用

広告事業でこれまで培ってきた技術を全社展開し、AI人材育成の強化とあわせ、誰もが生成AIを業務で活用できるための環境整備を行っています。

2023年10月には、「AIオペレーション室」を設立し、生成AIを活用した業務効率化、新しい開発・制作ワークフローの構築等を促進。

2023年11月に開催した「生成AI徹底活用コンテスト」では約2,200件の応募があり、効果が高いと判断した40案を現在開発および導入まで進めています。

また、メディア事業、ゲーム事業においては、2023年4月にアニメーション業界やゲーム業界における生成AI研究開発組織「アニメーションAI Lab」「ゲームAI Lab」を設立。「AI Lab」の技術者と連携し、動画番組やゲームといったエンターテインメントの制作にAIを導入し、全社的な競争優位性に繋げていきます。